「本当は嫌だったんだよね……」
学校から帰ってきた子どもが、ぽつりとそんな言葉を口にすることはありませんか?
詳しく聞いてみると、友達に遊びを決められたり、使いたかったものを譲ったり、自分の気持ちを我慢したりしているようです。
親としては、
「嫌なら嫌って言えばいいのに」
「どうして断れないんだろう?」
「このままで大丈夫なのかな?」
と心配になるかもしれません。
しかし、友達に嫌と言えない背景には、さまざまな理由が考えられます。
単に気が弱いからでも、勇気が足りないからでもありません。
この記事では、友達に嫌と言えない子どもの心理と、家庭でできる具体的な関わり方を紹介します。
友達に嫌と言えない子どもには、どんな心理がある?
まず知っておきたいのは、同じ「断れない」という行動でも、理由は一人ひとり異なるということです。
① 友達に嫌われるのが怖い
子どもにとって、友達との関係は大切なものです。
特に小学校に入ると、家庭以外で過ごす時間が増え、友達との関係も広がっていきます。
そんななかで、
「断ったら遊んでもらえなくなるかもしれない」
「嫌だと言ったら怒られるかもしれない」
と不安になる子もいます。
この場合、断る言葉を知っていても、実際の場面で使うことが難しい可能性があります。
② 相手の気持ちを優先してしまう
相手の気持ちを考えられることは、大切な力です。
しかし、相手を優先するあまり、自分の気持ちを後回しにしてしまうことがあります。
例えば、
「友達がこれで遊びたいなら、私が我慢すればいい」
と考えているかもしれません。
ここでは、優しさを否定する必要はありません。
相手の気持ちも、自分の気持ちも、どちらも大切にしてよいことを伝えていきます。
③ 断り方がわからない
大人は簡単に「嫌って言えばいい」と言います。
しかし、子どもにとっては、断り方そのものが難しい場合があります。
例えば、
「嫌!」
と強く言う以外の伝え方を知らなければ、友達との関係を悪くしたくなくて我慢することも考えられます。
断る方法には、いろいろな言い方があります。
「今はやりたくない」
「あとでならいいよ」
「私はこっちがいいな」
「今日は別の遊びがしたい」
このような表現を身につけることも、一つの支援になります。
④ 自分の気持ちに気づくことが難しい
嫌だと感じた瞬間に、その気持ちを言葉にできるとは限りません。
その場では友達に合わせていても、家に帰って落ち着いてから、
「本当は嫌だった」
と気づくこともあります。
これは、気持ちを整理するのに時間が必要だった可能性もあります。
すぐに答えられないからといって、気持ちがないわけではありません。
⑤ 相手から強く求められている
ここは特に注意したいところです。
友達に強く命令される。
断ると怒られる。
仲間外れにすると言われる。
こうした状況では、子ども自身の伝え方を練習するだけでは十分ではありません。
相手との関係や学校での状況を確認し、大人が介入する必要があります。
子どもが嫌と言えないことと、子どもが嫌なことをされていることは、分けて考える必要があります。
友達に嫌と言えない子への対応7選
ここからは、家庭で取り入れられる具体的な方法を紹介します。
① 最初に「嫌だった気持ち」を受け止める
子どもが「本当は嫌だった」と話してくれたとき、すぐに解決策を伝えたくなるかもしれません。
しかし、まずは気持ちを受け止めます。
「そうだったんだね」
「嫌だったんだね」
「話してくれてありがとう」
このような声かけから始めます。
大切なのは、子どもが安心して話せることです。
② 「嫌なら言えばいい」と責めない
「なんで嫌って言わなかったの?」
という言葉は、子どもにとって責められているように感じられる場合があります。
そこで、
「そのとき、どうしたらいいかわからなかったのかな?」
「言おうと思ったけれど、難しかった?」
と、状況を一緒に整理します。
答えを無理に求める必要はありません。
③ 家庭で小さな選択を増やす
自分の気持ちを伝える経験は、家庭でも作れます。
例えば、
「今日のおやつはどっちがいい?」
「公園では何をして遊びたい?」
「今日はどの絵本を読みたい?」
という場面です。
子どもが選んだときには、
「こっちがよかったんだね」
と、その選択を受け止めます。
自分の気持ちを表現し、それが尊重される経験を積み重ねていきます。
④ 断る言葉を一緒に考える
友達とのやり取りを想定して、言葉を考えます。
例えば、友達から遊びに誘われた場面なら、
「今は違う遊びがしたい」
「あとで一緒に遊ぼう」
「今日はやめておくね」
などです。
どの言い方が使いやすいか、子ども自身に選んでもらうのもよいでしょう。
⑤ ごっこ遊びで練習する
家庭で簡単なロールプレイを取り入れます。
親が友達役になって、
「一緒に鬼ごっこしよう!」
と誘います。
子どもが断る練習をします。
最初は、
「今日はやめておく」
の一言だけでも十分です。
慣れてきたら、違う場面でも練習してみます。
ただし、練習を嫌がる場合は無理に続けません。
人形やぬいぐるみを使う方法もあります。
⑥ 言葉で断る以外の方法も教える
嫌な場面で、必ず言葉を出せるとは限りません。
そんなときは、
その場を離れる。
首を横に振る。
先生に伝える。
近くの大人に助けを求める。
といった方法も選択肢になります。
自分を守る方法は、「嫌」と言うことだけではありません。
⑦ 学校と情報を共有する
同じような困りごとが繰り返される場合は、学校での様子を確認します。
「友達との遊びで、本人が嫌だと言えず困っているようです」
「学校ではどんな様子でしょうか?」
と、事実を中心に伝えます。
子どもから聞いた内容と、学校で確認できた内容を整理しながら対応を考えます。
親が避けたい3つの関わり
① 「そんなことじゃ友達に嫌われるよ」
不安を強める可能性があります。
断ることへの恐怖がある子には、特に注意したい言葉です。
② 「あなたは優しすぎるからダメなの」
優しいこと自体が問題なのではありません。
自分の気持ちも大切にできる方法を、一緒に考えていきます。
③ 「明日は絶対に嫌って言いなさい」
断ることが新たなプレッシャーになる場合があります。
「言えたらいいね」だけでなく、
「言えなかったときは、先生に相談してもいいんだよ」
と逃げ道も用意します。
学校への相談が必要なケース
次のような様子がある場合は、子どもだけで解決しようとせず、大人が対応することが大切です。
- 断ると脅されたり、仲間外れにされたりする
- 物を取られる、叩かれるなどの行為がある
- 同じ子との関係で繰り返し苦痛を感じている
- 学校に行くことを強く嫌がるようになった
- 眠れない、腹痛を訴えるなどの変化が続く
深刻な状況では、本人の自己主張の練習よりも、安全の確保と学校との連携を優先します。
まとめ|目指したいのは、何でも嫌と言える子ではない
友達に嫌と言えない子どもへの支援で、大切にしたいことがあります。
それは、何でもはっきり断れる子にすることだけを目標にしないことです。
友達と一緒に遊びたい。
相手を大切にしたい。
でも、自分の気持ちも大切にしたい。
そんなときに、自分なりの方法で気持ちを伝えられるようになること。
そして、困ったときには大人に助けを求められること。
それが、目指したい姿ではないでしょうか。
今日、子どもが「本当は嫌だった」と話してくれたなら、まずはその気持ちを受け止めるところから始めてみてください。
その一言が、次の一歩につながるかもしれません。
もっと具体的に取り組みたい方へ
「断り方を、どうやって練習すればいい?」
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子どもの気持ちと声かけ|晴れパパ