「ママ、これでいい?」
「ねえ、合ってる?」
「これで大丈夫?」
子どもが何かをするたびに、何度も確認してくる。
最初は「いいよ」「大丈夫だよ」と答えていても、同じことを繰り返し聞かれると、
「さっきも言ったでしょ?」
「自分で考えてみて」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
と言いたくなることはありませんか?
特に、宿題や工作、着替えなど、日常のささいな場面でも確認が続くと、親としては心配になることもあります。
「自分に自信がないのかな?」
「失敗するのが怖いのかな?」
「いつまでも親に確認していて大丈夫なのかな?」
そんなふうに感じる方もいるかもしれません。
私はこれまで児童指導員として10年以上、さまざまな子どもたちと関わってきました。
そのなかで感じているのは、同じように「これでいい?」と確認する子どもでも、その背景にある気持ちは一人ひとり違うということです。
今回は、子どもが何度も確認する心理と、家庭でできる具体的な関わり方について解説します。
1.「これでいい?」と何度も確認する子どもの心理
子どもが繰り返し確認する行動には、さまざまな理由が考えられます。
ここでは、代表的な5つの背景を紹介します。
① 失敗することが怖い
一つ目は、失敗への不安です。
例えば、宿題をしているとき。
「これで合ってる?」
「間違ってない?」
と何度も確認する子がいます。
この場合、単純に答えが分からないのではなく、
「間違えたらどうしよう」
「怒られたら嫌だな」
「失敗したくない」
という気持ちが背景にあるかもしれません。
特に、間違いを強く気にする子どもは、正しい答えが分かっていても確認することがあります。
ここで大切なのは、確認する行動だけでなく、子どもが何を心配しているのかを見ることです。
② 自分の判断に自信が持てない
二つ目は、自分で判断することへの不安です。
例えば、工作で色を塗る場面。
「赤で塗ってもいい?」
「こっちの色でもいい?」
「これで完成にしていい?」
何度も大人に確認する子がいます。
このような場合、自分の考えを持っていても、それを選択することに不安を感じている可能性があります。
「自分で決めて間違えたらどうしよう」
「大人が正しいと思う方を選びたい」
そんな気持ちがあるのかもしれません。
ただし、選択肢が多すぎて決められない場合もあります。
そのため、自信の問題だけと決めつけないことが大切です。
③ 大人の反応を気にしている
三つ目は、大人からどう評価されるかを気にしている場合です。
例えば、
「これでいい?」
と聞いたときに、大人が、
「違うよ。こうするんだよ」
と修正することが続くと、子どもによっては自分で決める前に確認するようになることがあります。
もちろん、間違いを教えること自体が悪いわけではありません。
しかし、正解を求められる経験が多いと、
「大人に確認してから行動した方が安心」
と感じる子もいます。
このような場合は、正しいか間違っているかだけでなく、子ども自身の考えや工夫を認める関わりが大切です。
④ 見通しが持てない
四つ目は、何をすればよいのか、どこまでできれば終わりなのかが分かりにくい場合です。
例えば、
「きれいに片付けてね」
と伝えられたとします。
しかし、子どもにとっては、
「どこまで片付ければいいの?」
「このおもちゃはここでいいの?」
「全部しまわないといけないの?」
と判断が難しいことがあります。
この場合、確認が多い理由は自信のなさではなく、求められていることが具体的に分からないためかもしれません。
特に、曖昧な指示を理解することが苦手な子どもには、具体的な説明や視覚的な手がかりが役立つ場合があります。
⑤ 安心感を求めている
五つ目は、安心したいという気持ちです。
「これでいい?」
「本当に大丈夫?」
と繰り返し確認することで、一時的に安心できる子どももいます。
ただし、強い不安が背景にある場合、何度答えても安心が長続きせず、再び確認したくなることがあります。
そのため、安心させようとして何度も同じ答えを返すだけでは、確認が続いてしまう場合もあります。
こうした確認行動は、不安への対処として見られることがあり、背景を丁寧に理解することが重要です。Child Mind Institute
2.「これでいい?」と聞く子に避けたい3つの対応
ここからは、家庭で気をつけたい関わり方について紹介します。
① 「自分で考えなさい」と突き放す
子どもに自分で考える力を育てたい。
その気持ちは、とても大切です。
しかし、不安が強い子に対して突然、
「自分で考えなさい」
と伝えても、どうすればよいか分からなくなることがあります。
大切なのは、最初から一人で判断させることではありません。
一緒に考える経験から、少しずつ自分で選ぶ経験につなげることです。
② 「絶対に大丈夫」と繰り返す
子どもを安心させるために、
「絶対に大丈夫!」
と伝えることもあると思います。
しかし、すべての場面で絶対に失敗しないと保証することはできません。
また、強い不安から確認を繰り返している場合、何度も保証することが確認の繰り返しにつながる場合もあります。
「間違えることもあるけれど、一緒に考えられるよ」
「困ったら相談していいよ」
といった、現実的な安心感を伝える方法もあります。
③ 確認すること自体を叱る
「何回聞くの?」
「さっきも言ったでしょ!」
と叱りたくなることもありますよね。
しかし、確認する行動の背景に不安がある場合、叱られることでさらに不安が強まる可能性があります。
まずは、確認したくなる理由を考えてみることが大切です。
3.「これでいい?」と何度も聞く子への対応7選
ここからは、家庭で実践できる具体的な方法を紹介します。
すべてを取り入れる必要はありません。
お子さんの様子に合わせて、できそうなものから試してみてください。
対応① まずは子どもの考えを聞く
子どもが、
「これでいい?」
と聞いてきたとき。
すぐに正解を伝えるのではなく、
「あなたはどう思う?」
「どっちがいいと思った?」
と聞いてみます。
ただし、質問されること自体が負担になる子もいます。
その場合は、
「赤と青、どっちにしようか?」
と選択肢を絞る方法もおすすめです。
ポイントは、正解を当てさせることではなく、自分の考えを表現できるようにすることです。
対応② 正解よりも考えた過程を認める
例えば、子どもが自分で色を選んだとき。
「その色にしたんだね」
「自分で考えて決めたんだね」
と伝えてみます。
「正解だったから褒める」のではなく、自分で考えたり、選んだりしたことに目を向けます。
そうすることで、子どもが自分の判断を振り返るきっかけになります。
対応③ 間違えても大丈夫な経験を作る
失敗を怖がる子どもには、間違えてもやり直せる経験が大切です。
例えば、工作で思ったようにできなかったとき。
「失敗しちゃったね」
で終わるのではなく、
「ここからどうしようか?」
「違う方法も試してみる?」
と、一緒に考えます。
大人自身が失敗したときに、
「間違えちゃった。もう一回やってみよう」
と伝えるのも一つの方法です。
失敗しないことよりも、失敗したあとにどうするかを経験する。
その積み重ねを大切にしたいですね。
対応④ 判断する基準を具体的にする
「これでいい?」と何度も確認する子のなかには、終わりの基準が分からない子もいます。
例えば、片付けの場合。
「きれいにしてね」
ではなく、
「ブロックを青い箱に入れたら終わりだよ」
と具体的に伝えます。
宿題の場合も、
「この3問が終わったら、まずは一度確認しよう」
と区切ることができます。
写真やチェックリストを使う方法もあります。
確認を減らすことだけを目標にするのではなく、子ども自身が判断しやすい環境を作ることが大切です。
対応⑤ 小さな選択から始める
いきなり大きな決断を任せる必要はありません。
例えば、
「今日の靴下はどっちにする?」
「絵本はどれを読む?」
「おやつはどちらがいい?」
といった、日常の小さな選択から始めます。
子どもが決めたら、危険がない限り、その選択を尊重してみましょう。
選択する経験を重ねることが、自分で判断する練習になります。
対応⑥ 確認してもよい場面を残す
ここは特に大切にしたいポイントです。
自分で考える力を育てたいからといって、確認することをすべて減らす必要はありません。
分からないことを聞く。
困ったときに助けを求める。
これは、子どもにとって大切な力です。
例えば、
「分からないときは聞いていいよ」
「でも、自分で選べそうなときは、一度考えてみようか」
と伝えることができます。
また、強い不安から同じ確認を繰り返す場合は、単に「もう聞かない」と制限するのではなく、子どもの気持ちを受け止めながら、安心の得方を少しずつ広げることが大切です。
不安が強い子どもへの支援では、不安を否定せず、子どもが不確かさに対処する力を育てる考え方が紹介されています。Child Mind Institute
対応⑦ 自分で決められた経験を振り返る
最後は、一日の終わりなどに小さな経験を振り返る方法です。
例えば、
「今日は自分で服を選んだね」
「工作の色を自分で決められたね」
と伝えてみます。
ここで大切なのは、毎回「できた・できない」で評価しないことです。
「今日は迷ったけど、一緒に選べたね」
という振り返りでも構いません。
子どもが少しずつ自分の考えに気づき、選択する経験を積み重ねていけるといいですね。
4.何度も確認する子どもは、発達障害なの?
「これでいい?」と繰り返し確認する子どもを見て、発達障害との関係を心配する保護者もいるかもしれません。
結論から言うと、確認する回数が多いという理由だけで、発達障害かどうかを判断することはできません。
確認行動の背景には、不安、経験不足、課題の理解の難しさ、見通しの持ちにくさなど、さまざまな要因が考えられます。
また、発達特性のある子どもでも、確認する理由は一人ひとり異なります。
大切なのは、診断名を推測することよりも、
「どんな場面で確認するのか」
「何を確認しているのか」
「確認したあと、安心して行動できるのか」
「何度答えても不安が続くのか」
を丁寧に観察することです。
例えば、説明が曖昧なときだけ確認が増えるなら、指示を具体的にすることで行動しやすくなるかもしれません。
一方、十分に説明しても強い不安が続く場合は、別の支援が必要になることもあります。
確認が極端に多く、学校生活や家庭生活に支障が出ている場合、本人が強い苦痛を感じている場合などは、学校の先生やスクールカウンセラー、小児科などに相談することも検討してください。nhs.uk
5.親が目指したいのは「確認しない子」ではない
ここまで、何度も確認する子どもへの関わり方を紹介してきました。
しかし、最後に一つお伝えしたいことがあります。
それは、
「確認しなくなること」を最終目標にしなくてもいい
ということです。
子どもが大人に確認すること自体は、決して悪いことではありません。
困ったときに相談できる。
分からないことを聞ける。
自分の考えを誰かと共有できる。
これらは、社会生活のなかでも大切な力です。
ただし、何でも確認しないと行動できない状態が続くと、本人も困ってしまうことがあります。
だからこそ、私たち大人が意識したいのは、
「確認しなくてもいい子にする」
ことではなく、
「確認しなくても大丈夫な場面を、少しずつ増やしていく」
という視点です。
最初は一緒に考える。
次は、二つの選択肢から選んでみる。
慣れてきたら、自分の考えで決めてみる。
そして、困ったらまた相談する。
そんな関わり方を大切にしたいですね。
まとめ|「これでいい?」の奥にある気持ちを考える
子どもが何度も、
「これでいい?」
と確認するとき。
私たち大人は、つい確認する回数に目を向けてしまいます。
でも、その言葉の奥には、
「間違えたくない」
「安心したい」
「自分の考えに自信がない」
「どうすればいいのか分からない」
といった気持ちが隠れているかもしれません。
だからこそ、確認する行動だけを減らそうとするのではなく、その背景を理解することが大切です。
そして、子どもが少しずつ自分で考え、選び、行動できるように、必要な支えを用意していく。
その積み重ねが、自分で判断する力を育てることにつながるのだと思います。
子どもが「これでいい?」と聞いたとき。
すぐに答えを教える前に、一度だけ考えてみませんか?
「この子は今、何を確かめたいのだろう?」
その小さな視点の変化が、子どもへの関わり方を見直すきっかけになるかもしれません。
晴れパパより
私は二人の娘を育てる父親であり、児童指導員として10年以上、子どもたちと関わってきました。
このブログでは、子どもの行動の背景や気持ちを考えながら、家庭で実践できる関わり方を紹介しています。
子育てには、一つの正解があるわけではありません。
だからこそ、子ども一人ひとりの気持ちを大切にしながら、一緒に考えていけたら嬉しいです。
何気ない今日が、いつか宝物になる。
晴れパパ