「うちの子のこと、一度相談した方がいいのかな……」
そう思っていても、なかなか相談に踏み出せないことはありませんか?
- 学校で困っていることがあるみたい
- 家では癇癪が多く、どう対応すればいいかわからない
- 友達とうまく関われないことが心配
- 発達のことが気になるけれど、何を相談すればいいかわからない
そして、いざ相談しようと思っても、
「何から話せばいいんだろう?」
「うまく説明できなかったらどうしよう」
「こんなことを相談してもいいのかな」
と、不安になってしまう方もいると思います。
私はこれまで、児童養護施設や放課後等デイサービスなどで、子どもたちの支援に携わってきました。
その中で感じているのは、子どものことを相談するとき、最初から上手に説明する必要はないということです。
困っていることがうまく整理できていなくても大丈夫です。
この記事では、初めて子どものことを相談するときに準備しておきたい5つのことと、実際に使える伝え方を紹介します。
最後には、相談前に使える簡単なメモも用意しました。
1.子どもの相談は、何から話せばいい?
最初に伝えたいのは、相談するために、子どもの問題をはっきりさせておく必要はないということです。
「発達障害なのかな?」
「私の育て方が悪いのかな?」
「学校に何かお願いした方がいいのかな?」
いろいろな考えが浮かんでくるかもしれません。
でも、最初から原因や答えを決める必要はありません。
例えば、
「最近、宿題の時間になると泣いてしまうことが増えました。どう関わればいいかわからず困っています」
これだけでも、相談を始めるきっかけになります。
大切なのは、今の子どもの様子と保護者の困りごとを、一緒に整理していくことです。
相談は、子どもに診断名をつけてもらうためだけの場所ではありません。
子どもが少しでも安心して生活できる方法を、一緒に考えるための時間でもあるのです。
2.相談前に整理しておきたい5つのこと
ここからは、相談するときに準備しておくと役立つ5つのポイントを紹介します。
すべてを書き出さなくても大丈夫です。
まずは、今わかるところから始めてみてください。
① 今、一番困っていること
最初は、気になっていることを一つ選んでみましょう。
例えば、
- 朝、学校に行く準備が進まない
- 宿題で間違えると泣いてしまう
- 友達とトラブルになることがある
- 気持ちの切り替えに時間がかかる
- 言葉で気持ちを伝えるのが難しい
一度に全部を説明しようとすると、何が一番伝えたいことなのかわからなくなってしまうことがあります。
そんなときは、
「今、一番相談したいのは、宿題になると泣いてしまうことです」
と、一つの困りごとから話し始めてみてください。
そこから相談員や先生が質問を重ね、一緒に整理してくれることもあります。
② どんな場面で困るのか
次に考えたいのは、困りごとが起こる具体的な場面です。
例えば「落ち着きがない」という言葉だけでは、子どもの様子を十分に伝えられないことがあります。
でも、
「夕食のとき、椅子に座っていても数分で立ち上がり、部屋の中を歩き始めます」
と伝えると、様子をイメージしやすくなります。
整理するときは、
- いつ起こるのか
- どこで起こるのか
- 何をしているときか
- その前後に何があったのか
という視点が役立ちます。
回数や時間を正確に記録していなくても問題ありません。
覚えている範囲で、具体的な場面を一つ伝えるだけでも、相談の助けになります。
③ 子どもの好きなこと・得意なこと
相談するときは、つい困っていることばかり話してしまいがちです。
でも、私は子どもの好きなことや得意なことも、ぜひ伝えてほしいと思っています。
例えば、
「電車のことなら夢中になって話せます」
「工作をしているときは集中できます」
「年下の子には優しく接することができます」
こうした情報は、子どもの強みを生かした関わりを考えるための大切な手がかりになります。
子どもの支援は、苦手なことを改善するだけではありません。
好きなことを入り口にしたり、得意なことを活用したりすることで、安心して挑戦できる場面が増えることもあります。
困っている姿だけではなく、その子らしい素敵な姿も伝えてみてください。
④ これまで試した関わりと子どもの反応
次に、家庭でこれまで試したことを振り返ってみます。
例えば、宿題を嫌がる子どもに対して、
「早くやろう」と声をかけたら、余計に泣いてしまった。
でも、
「最初の一問だけ一緒にやろう」と伝えたら、取り組めることがあった。
こうした情報は、支援方法を考えるうえで役立ちます。
うまくいったことだけでなく、うまくいかなかったことも伝えて大丈夫です。
大切なのは、保護者の対応が正しかったかどうかを評価することではありません。
どのような関わりが子どもに合っているのかを、一緒に探していくことです。
⑤ 相談を通して知りたいこと
最後に、相談で知りたいことを一つ考えてみましょう。
例えば、
「家庭でどんな声かけをすればいいですか?」
「学校にはどのように伝えたらいいですか?」
「本人が安心できる環境をつくるには、何から始めればいいですか?」
「必要であれば、ほかの相談機関も教えてもらえますか?」
といったことです。
はっきりした質問が思いつかない場合は、
「今の状況を一緒に整理してほしいです」
でも構いません。
相談の目的は、必ずしもその場で答えを出すことではないからです。
3.実際にどう伝える?相談するときの具体例
例えば、小学1年生のお子さんが宿題になると泣いてしまう場合を考えてみます。
伝え方の例①
「うちの子は宿題を嫌がって、すぐ泣きます。困っています」
もちろん、この伝え方でも相談はできます。
ただ、もう少し具体的に伝えられると、状況を共有しやすくなります。
伝え方の例②
「小学1年生の子どもについて相談したいです。最近、宿題で間違えると泣いてしまうことがあります。特に算数のときに多いです。
『間違えても大丈夫だよ』と声をかけていますが、なかなか次に進めません。
一方で、私が隣に座って最初の一問を一緒に考えると、取り組める日もあります。
家庭ではどんな関わりができるのか、学校での様子も含めて相談したいです」
このように、
困っている場面 → 子どもの様子 → 試した対応 → 知りたいこと
という順番で話すと、状況が整理されやすくなります。
ただし、これはあくまで一例です。
相談の場で言葉に詰まってしまったときは、事前に書いたメモを見ながら話しても大丈夫です。
4.どこに相談すればいい?相談先の選び方
子どもの相談先は、悩みの内容によって異なります。
学校生活について相談したい場合
まずは担任の先生に相談する方法があります。
授業中の様子、友達との関係、宿題や集団活動など、家庭では見えない姿を知るきっかけにもなります。
学校によっては、スクールカウンセラーなどにつないでもらえる場合もあります。
発達や日常生活について相談したい場合
お住まいの自治体の発達相談窓口、保健センター、こども家庭センターなどが候補になります。
言葉の発達、集団生活への参加、気持ちの切り替えなど、気になることを相談できます。
地域によって窓口の名称や対応内容が異なるため、自治体の公式ホームページで確認してみてください。
すでに支援機関を利用している場合
放課後等デイサービスなどを利用している場合は、普段の支援の様子について職員に相談することもできます。
家庭と施設での子どもの姿を共有することで、新しい気づきが得られることもあります。
どこに相談すればいいかわからないときは、自治体の子育て相談窓口で相談先を尋ねることから始めてもよいでしょう。
5.相談が終わったあとに大切なこと
相談は、話して終わりではありません。
相談のあとに、
「家で試してみようと思ったこと」
「学校や支援機関に確認すること」
「次に相談するときに伝えたいこと」
を一つずつ残しておくと、その後の関わりにつなげやすくなります。
例えば、
相談でわかったこと
宿題を始める前に、不安な気持ちが強くなっている可能性がある。
家庭で試すこと
最初の一問だけ一緒に取り組み、できたところで一度区切る。
次に確認すること
学校での課題への取り組み方や、困ったときの様子を先生に聞く。
このように小さく整理できれば十分です。
一度の相談ですべてを解決しようとする必要はありません。
子どもの反応を見ながら、合う方法を少しずつ探していきましょう。
6.相談前に使える無料メモ
ここまで読んで、
「何を伝えればいいか、少しわかってきた」
と思っていただけたらうれしいです。
最後に、スマートフォンのメモ帳や紙に書いて使える簡単な相談メモを紹介します。
【子どもの相談準備メモ】
① 今、一番相談したいこと
例:宿題で間違えると泣いてしまう。
記入:
② どんな場面で起こる?
例:平日の夕方、算数の宿題をしているとき。
記入:
③ 子どもの好きなこと・得意なこと
例:工作が好き。好きなことには集中できる。
記入:
④ 試した関わりと子どもの反応
例:最初の一問を一緒にすると始めやすい。
記入:
⑤ 相談で知りたいこと
例:家庭での声かけと、学校での様子。
記入:
全部を埋める必要はありません。
一つでも書けたら、それが相談の準備になります。
7.もう少し具体的に準備したい方へ
ここまで紹介した無料メモだけでも、相談の準備を始められます。
ただ、実際に書こうとすると、
「どこまで詳しく書けばいいの?」
「困っていることが複数ある場合は?」
「相談中に何を確認すればいい?」
と迷うこともあると思います。
そんな方が、相談前から相談後まで順番に整理できるよう、記入例付きのワークシートを5枚にまとめました。
『子どものこと、何から相談すればいい?|記入例付き・相談準備ワークシート5枚セット』
内容は、
- まず伝えたいことを整理するシート
- 困っている場面を具体的にするシート
- 子どもの好き・得意・安心できる関わりを整理するシート
- 相談当日に確認したいことをまとめるシート
- 相談後に家庭で試すことを整理するシート
の5枚です。
無料メモよりも詳しく書けるよう、記入例や使い方も付けています。
相談前に頭の中を整理したい方や、話し忘れが心配な方に使っていただけたらうれしいです。
▶【有料note:相談準備ワークシート5枚セットはこちら】
まとめ|相談は、上手に話す場所ではなく、一緒に考える場所
子どものことが心配になると、
「ちゃんと説明しなければ」
「今のうちに何とかしなければ」
と、保護者自身も焦ってしまうことがあります。
でも、相談の前にすべてを整理する必要はありません。
今回紹介した5つのポイントを、もう一度振り返ります。
- 今、一番困っていること
- どんな場面で困るのか
- 子どもの好きなこと・得意なこと
- これまで試した関わりと反応
- 相談を通して知りたいこと
まずは一つでいいので、メモに書いてみてください。
そして、忘れないでほしいことがあります。
子どもの困りごとを相談することは、その子のできないことを探すことではありません。
その子が持っている力や、安心できる環境、少しずつ前に進める方法を見つけるための一歩です。
保護者だけですべてを抱え込まなくても大丈夫。
「何から相談すればいいかわからない」
その気持ちから、相談を始めてもいいのです。
今日の小さな一歩が、子どもと家族に合った支援につながっていくことを願っています。
この記事を書いた人|晴れパパ
児童養護施設や放課後等デイサービスなど、子どもの支援に約10年間携わってきた児童指導員。現在は放課後等デイサービスの管理者兼児童発達支援管理責任者として、子どもの発達や保護者支援に関わっています。
ブログ「おてんききっず」では、子どもの気持ちを理解するための視点と、家庭で試せる具体的な関わりを発信しています。