「これって反抗期?それとも、うちの子の特性なの?」
「何を言っても聞かない」
「注意すると余計にひどくなる」
「昔は素直だったのに、最近は口答えばかり」
子どもが言うことを聞かなくなると、多くの保護者が真っ先に思い浮かべるのが「反抗期」という言葉です。
しかし、中には「これは反抗期というより、何か別の理由があるのでは」と感じるケースもあります。
私は児童・障がい福祉の現場で11年間働き、現役の児童発達支援管理責任者として
「言うことを聞かない」という悩みを抱えた多くのご家庭と関わってきました。
この記事では、療育の現場で実際に使われている観察の視点も交えながら
反抗期と発達特性による困りごとの違いを整理し、それぞれに合った関わり方をお伝えします。
そもそも「反抗期」とは何か
反抗期は、子どもの発達段階として自然に訪れる、自我の成長過程です。
「イヤイヤ期」と呼ばれる2〜3歳頃
そして思春期にあたる小学校高学年〜中学生頃に、特に強く現れることが知られています。
反抗期の背景には、「自分の意思を持ちたい」「自分で決めたい」という、健全な自立心の育ちがあります。
つまり、反抗すること自体が、成長の証でもあるのです。
反抗期を『嫌な時期』ではなく『成長している時期』と捉えると
関わりやすいかもしれませんね!
反抗期による「言うことを聞かない」の特徴
- 特定の相手(親など)に対して、選択的に反抗する
- 「自分でやりたい」「自分で決めたい」という主張がベースにある
- 気分や状況によって、態度に波がある
- 良好な関係の相手(友達、先生など)には、それほど反抗的でないことが多い
反抗期の場合、根っこにあるのは「自立したい」という気持ちであり
時間の経過とともに、少しずつ落ち着いていく傾向があります。
発達特性による「言うことを聞かない」の特徴
一方で、発達特性が背景にある場合、見た目は同じ「言うことを聞かない」でも、その理由は異なります。
- 指示の理解が難しい:抽象的な言葉や、複数の情報を含む指示が、そもそも理解できていない
- 切り替えが苦手:今やっていることへのこだわりが強く、次の行動への切り替えが難しい
- 聞こえていても、処理が追いつかない:耳では聞こえていても、内容を処理して行動に移すまでに時間がかかる
- 相手や場面を問わず、同じような困りごとが見られる:家庭だけでなく、園や学校でも同様の様子がある
発達特性による困りごとの場合、「反抗している」というより
「そもそも指示通りに動くことが難しい状況にある」ことが多いのが特徴です。
【専門的な視点】「聞かない」の背景にある、実行機能という力
療育の現場では、「言うことを聞かない」という行動を評価するとき
単に性格や態度の問題として見るのではなく、「実行機能(遂行機能)」という
脳の働きの観点から捉えることがあります。
実行機能とは、目標に向かって行動を計画し、実行し、必要に応じて修正する力の総称です。
具体的には、次のような力が含まれます〜〜
- 抑制機能:今やりたいことを一旦止める力(ゲームを続けたい気持ちを抑える、など)
- 切り替え機能:一つの行動から、別の行動へスムーズに移る力
- ワーキングメモリー:指示された内容を、行動に移すまで頭の中に保持しておく力
発達特性のある子は、この実行機能のいずれか、あるいは複数が育ち途中であることが多く
「指示は聞こえているし理解もしているのに、行動に移せない」という状態が起こりやすくなります。
これは、意思の弱さや、やる気の問題ではなく、脳の働き方の特性によるものです。
この視点を持てるかどうかで、大人の声かけの姿勢は大きく変わります。
【専門的な視点】行動の前後を観察する「ABC分析」という考え方
療育の現場では、気になる行動そのものだけを見るのではなく
その行動の『前』と『後』に何が起きているかをセットで観察する、ABC分析という手法がよく使われます。
- A(Antecedent/きっかけ):その行動が起きる直前、どんな状況だったか
- B(Behavior/行動):実際に、どんな行動が見られたか
- C(Consequence/結果):その行動の後、周りはどう対応したか
例えば、「テレビを消してと言ったら、聞こえないふりをした」という場面を
この3つに分けて観察してみると
Aの部分に「集中している最中に、突然言われた」という共通点が見えてくることがあります。
この場合、「聞く気がない」のではなく
「切り替えのタイミングが急すぎた」ことが背景にある可能性が高いと考えられます。
家庭で「言うことを聞かない場面」が続くときは、その場面だけを切り取って責めるのではなく
「その前に何があったか」「その後どう対応したか」を、簡単にメモしてみることをおすすめします。
パターンが見えてくると、対応のヒントも見えやすくなります。
テレビを見ている時に〜なのか
おもちゃで遊んでいる時に〜なのか
何かしらの理由や原因があるのでそこが判明すると
関わり方が見えてきます。
見分けるための、3つのチェックポイント
① 場面や相手によって、態度に一貫性があるか
反抗期は、相手や状況によって態度が変わりやすい傾向があります。
一方、発達特性による困りごとは、場面や相手を問わず、比較的一貫して見られることが多いです。
② 指示の「理解」に問題がありそうか
「わざとやらない」のか、「そもそも理解できていない」のかを見極めてみてください。
指示を簡単な言葉に言い換えたときに、行動が変わるようであれば、理解面での難しさが背景にある可能性があります。
③ 困りごとが、年齢とともに落ち着く傾向があるか
反抗期による困りごとは、時間の経過とともに落ち着いていく傾向があります。
発達特性による困りごとは、成長しても同じようなパターンが続きやすい傾向があります。
これらはあくまで目安であり、両方が重なっているケースも少なくありません。
判断に迷う場合は、自己判断せず、専門家に相談することをおすすめします。
それぞれに合った関わり方
反抗期が背景にある場合
- 頭ごなしに否定せず、「自分で決めたい」という気持ちを尊重する
- 危険なこと以外は、できるだけ本人に選ばせる機会を作る
- 感情的に対立せず、一貫した態度で接する
療育の視点では、反抗期の子への関わりは「主導権をどれだけ本人に渡せるか」がポイントになります。
すべてを大人が決めてしまうと、対立が強まりやすくなります。
「靴と靴下、どっちを先に履く?」というように
結果は同じでも選択の余地を残す聞き方に変えるだけで、抵抗感が和らぐことがあります。
発達特性が背景にある場合
- 指示は短く、具体的な言葉で伝える
- 切り替えには、事前の予告やワンクッションを用意する
- 「聞いていない」と決めつけず、伝わる形を工夫する
先ほどの実行機能の視点で言えば、切り替えの予告は「抑制機能・切り替え機能」への負担を減らす関わりです。
また、指示を短くすることは「ワーキングメモリー」への負担を減らす関わりにあたります。
療育の現場では、「何をどう手伝えば、この子の負担が減るか」という視点で、声かけの工夫を組み立てていきます。
負担が減れば、行動そのものが変わりやすくなる、という考え方です。
「どちらか」に決めつけすぎなくていい
大切なのは、「反抗期」か「発達特性」かを、白黒はっきりさせることではありません。
目の前の子どもが、今どんな状況で、何に困っているのかを丁寧に観察し、その子に合った関わり方を探していくことが、一番の近道です。
判断に迷ったときや、対応に困り果てているときは、一人で抱え込まず、園や学校の先生、自治体の発達相談窓口などに相談してみてください。
まとめ
- 反抗期は自立心の育ちが背景にあり、相手や状況によって態度に波がある
- 発達特性による困りごとは、指示の理解や切り替えの難しさが背景にあり、場面を問わず一貫して見られやすい
- 「態度の一貫性」「指示の理解度」「年齢による変化」の3点が見分けのヒントになる
- 白黒つけようとせず、その子に合った関わり方を探すことが大切
「言うことを聞かない」という同じ状況でも、背景にある理由は子どもによって様々です。
決めつけず、その子自身をよく見る視点を、大切にしていきましょう。
「反抗期だから・・・」だけで関わりを薄くするのではなく
少し離れた場所から「きっとこういうことかな」と考察を立ててみましょう。
大切なのは・・・
『見守って常に考えることです』
その子のことを知ろうとしてあげてください。
あまり、構いすぎると、OUTなので 笑
スナイパーのように遠い場所から、でも、心は近くにです〜!