家では歌もセリフも言えるのに、発表会では固まってしまう。わが家の娘にも、そんな時期がありました。3歳の発表会では先生の膝に座り、4歳の運動会でも泣きながら参加しました。家でできることと、大勢の前でできることは同じではないのだと、そのとき気づきました。
その後の発表会までに家庭で取り組んだことを、実体験として紹介します。娘には合った面もありましたが、緊張を「治す方法」や、すべての子に同じ結果が出る方法ではありません。
家ではできるのに本番で止まるのはなぜ?
わが家の場合、練習内容は覚えていました。一方、本番には観客、音、いつもと違う会場などが重なります。「できるはず」と思っていた親も、家と会場の違いを十分に考えられていませんでした。まずは、何を怖がっているのか、子どもの言葉や様子を見て確かめることから始めました。
工夫1:当日の流れを一緒に見る
前年の発表会の動画を見て、入場から退場までを家族で確認しました。会場の雰囲気や順番を先に知るためです。見せることで不安が強くなる子もいるので、本人が見たがらないときは無理に進めません。写真や短い説明だけにする方法もあります。
工夫2:小さな練習を、本人のペースで
家では親が先生役や観客役になって、入場やセリフを試しました。祖父母の前でもやってみましたが、その場で娘が泣いたこともあります。今振り返ると、観客を増やす速さは、本人の様子を見ながらもっと慎重に決めてもよかったと思います。
練習の目標は「本番と同じように完璧にする」ではなく、「ここまではできた」「嫌なときは休めた」を見つけること。緊張して止まったら、一段階戻る選択もあります。
工夫3:先生と、落ち着く方法を共有する
娘は緊張したとき、軽くジャンプすると気持ちを切り替えやすいことがありました。保育園の先生にも伝えると、練習中に「緊張してきた」と話した際、一緒にジャンプしてくれたそうです。大事だったのはジャンプという動作そのものより、娘が自分の気持ちを伝え、安心できる大人と対処法を試せたことでした。
本番の結果と、今なら変えたいこと
その年の発表会では、娘は舞台に立ち、セリフや歌、ダンスに参加できました。親として嬉しかった出来事です。ただ、その結果だけで性格が変わったとは言えません。緊張しても、参加する方法を少しずつ見つけられた経験だと受け止めています。
当時は、挨拶や発表を強く促したり、ご褒美を約束したりもしました。今なら「大きな声でできたら成功」と決める前に、本人が何を不安に思い、どう参加したいかをもっと聞きたいです。見学する、先生のそばにいる、途中から加わることも、その子にとっての大切な一歩です。
行事で固まる子を見たら、「練習したのにどうして」と急ぐ前に、家と本番の違いを一緒に整理してみてください。何を準備すると安心できるかは、一人ひとり違います。